【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第41章 降谷先輩 ☆
カチ…カチ…と時計が秒針を刻む音がする。
けれど、わたしの目はパッチリ開いたままだ。
「眠れない…」
むく…と身体を起こして隣を見ると、小鳥遊さんは夢の中。
何なら、いつも零が寝ているこのベッドで眠るのを至福の時と言わんばかりに幸せそうな顔して。
かたや、一睡もできないわたしは、ひとまず水でも飲んで落ち着こうと寝室を出てキッチンに向かった。
水をキッチンで飲んだ後、ふとリビングの方を見ると、ソファーの上で零が眠っているのが目に入る。
寝顔でも見てやろう。と、ソファーに近づいて見ると、零はすーすーと寝息を立てて眠っている。
「まつ毛、ながい…」
零の金色の長いまつ毛が幻想的で、思わず眠る零の頬に手を触れた。
そのとき
「ん…」
零が眉を歪ませたのを見て、しまった。起こしちゃった。と慌てて手を引っ込めたけれど、時すでに遅く
「リラ…?」
「っ…ごめん。起こすつもりなくて…」
慌てて謝り、すぐに寝室に戻ろうとするわたしの手を、零が掴んだ。
「え…」
「僕のところに、夜這いしに来てくれたんじゃないんだ?」
そう言いながら、零がわたしの腕を引いてソファーの方へと誘う。
「隣に、小鳥遊さんが…」
寝室の方を見ると、さっきわたしが出入りしたせいで少しだけ扉が開いている。