【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第41章 降谷先輩 ☆
リビングに戻ってから3人で夕食を食べ、交代でシャワーを使った後はいよいよ寝る時間だ。
「すみません。服とか、借りちゃって…」
「いえいえ。
…零の、大事な依頼人さんだから」
わたしの零
あなたは依頼人
そう強調したくて言うわたしは、なんて心が狭い人間なんだろう。
嫉妬すればするほど、自分がどんどん嫌な人間に思えてくる。
「じゃあ、僕はソファーで寝るので、小鳥遊はリラとベッドで寝てください。
セミダブルだけど、女性2人なら余裕で距離を保って寝られるでしょう」
「いや!私が押しかけてる身なので…
私がソファーで…」
「大丈夫ですよ。
僕がソファーで寝ます。大人しく言うことを聞いてください?」
「…じゃあ、お言葉に甘えて」
そんな2人とやり取りを眺めていると、零と初めて一緒に暮らし始めた頃のことを思い出した。
あの時も、わたしがソファーで寝る!って言ったのに、零はベッドを譲ってくれた。
あの時、優しいな…と思ったけど、今は違う。
わたし以外の女の子にも、そんなに優しくするんだ…
あの時、あんなに優しくしてくれたのはわたしだからじゃなくて、誰でも同じことをしてたんだ…
そんなモヤモヤを抱えたまま、依頼人である小鳥遊さんと一緒に寝ることになり、わたしたちはベッドで2人並んで横になった。
「あの、Lilaさんですよね?
アーティストの」
今まで何も言わなかったのに、突然そう聞かれたわたしは、少し驚きながらも頷いた。
「は…はい。」
「やっぱり!ハルジオン、よく聴いてますよ。
…芸能人と付き合ってるんだ…さすが降谷先輩ですね」
ふふっと小鳥遊さんは可愛い顔して笑った。
高校の後輩ってことは、わたしよりも年上のはずだけど、そう見えないほどの童顔。
下手をすればわたしの方が年上に見えるんじゃ…
今度、メイクさんに若く見えるメイク教えてもらおう…
と、対抗意識を燃やしていると、小鳥遊さんは懐かしむように目を細めた。