【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第41章 降谷先輩 ☆
プルルルル…
コール音が2回鳴り響いた後、受話器があがり、リラの綺麗な声が聞こえてきた。
「はいー!零ごめん。
ちょっと今立て込んでて…」
出たのは出たものの、忙しそうなリラ。
時間を取らせるのは悪いと思い、僕は要件だけ伝えようとする。
「分かった。手短に話す。
今日一日、依頼人を家に泊めることになった。
リラの立場的に、プライベートを覗かれるのがマズイなら、申し訳ないんだけど今日はホテルに泊まって欲しい。」
「え…え?依頼人って…女の子だよね…?」
「あぁ。
自宅の家の鍵を無くしたらしく、今日一日行くところがないんだって言われて」
リラの問いに対して嘘は付けない。
戸惑っているような、混乱しているようなリラの反応は至極真っ当だ。
リラは少しだけ考えた後、もちろん少しモヤモヤを残しつつも、いつもの癖でいい人を演じた。
「…困ってるんなら、いいよ。
でも、わたしはホテルじゃなくて家に帰る…
零の仕事の邪魔しないから…いい?」
「もちろん。当たり前だよ。
リラの家だから。
リラが問題なければ大丈夫」
「うん。
…じゃあ、撮影終わったら帰るね。
少し遅くなると思う」
「うん。気を付けて。」
ピッ
ひとまずリラの許可を取れた僕は、小鳥遊にそのことを伝えた。
「彼女の許可降りたよ。
ただし、今日一日だけだ。」
「はい!ありがとうございます!」
「じゃあ…このままポアロにいても仕方ないし、
家に移動しようか。」
そう言って車のキーを片手に店を出ると、小鳥遊は嬉しそうに僕の後ろをついて来た。