【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第41章 降谷先輩 ☆
小鳥遊のストーカー調査は思ったより難航した。
着信やメールの履歴を辿ってみたりしたけれど、海外のサーバーを経由されているらしく、発信者を特定することはできなかった。
中間報告として、そのことを小鳥遊に電話で話すと
「そうですか…
あの、先輩に折り合ってご相談が…」
「相談?」
「はい。
あの、この間と同じ時間に、ポアロに行ってもいいですか?」
「はい。構いませんよ?」
特に断る理由もなく、そう返事をすると小鳥遊は嬉しそうな声で言った。
「ありがとうございます!
じゃあ、後ほど…」
なんだろう。相談って…
ストーカー被害のことじゃなくて…?
そう思いながら、僕は朝のポアロの仕込みを始めた。
そしてポアロの閉店後、この間と同じ時刻に小鳥遊はポアロのドアを開いた。
カラコロとドアベルが鳴るのと同時に中に足を踏み入れた小鳥遊は、僕を見つけて嬉しそうに微笑む。
「…2人きりの時は、降谷先輩と呼んでいいですか?」
「…いえ。
ボロが出ると困るので、2人きりでも安室の名前を使ってもらえると助かります」
「…わかりました。
じゃあ、安室先輩。」
可愛い声で僕を安室先輩と呼んだ小鳥遊。
そんな彼女に淡々と返事をする僕。
何故なら、彼女の真意がまだ掴めずにいるからだ。
「はい。
レモンティーで良いですか?」
「覚えててくれたんですか?」
「これでも接客業ですから」
そう言い、前と同じようにレモンティーを手早く作ると、小鳥遊の前に提供した。
それを嬉しそうに手に取り、彼女が口に運ぶのを眺めた。
「それで、相談というのは?」