【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第41章 降谷先輩 ☆
腕枕をしてもらいながら、零に抱かれた余韻に浸っていると、幸せが溢れて苦しい。
心配することない。
零の彼女はわたしなんだから。
そう思いながら零の身体にぎゅーっと抱きつくと、零はフッと笑いながらわたしの髪を撫でた。
「すごい力」
「ご、ごめん!」
慌てて離れようとするわたしを、今度は零が強く抱きしめ返した。
「離れちゃダメだ」
ぎゅっ…と、わたしの力なんかよりもっと力強く、零の腕の中を全身で感じる。
そして今度は、おんなじ言葉をわたしがそっくりそのまま返す。
「すごい力…」
「真似しないでください」
そう言い合って、顔を見合わせて笑うとまた幸せが溢れた。
「でも、零の高校時代、見てみたかったなあ…!
学ランだった?ブレザーだった?
待って。当てるから!
零は絶対ブレザー!」
「自分で聞いて自分で答えるんだ。
正解。ブレザーだったよ」
降谷零17歳の話を聞くのが楽しすぎて変なテンションになるわたしを見て、零が呆れたように笑っておでこにキスをした。
正解したご褒美と勘違いしたわたしは、ふふっと笑いながら次の質問をする。
「やっぱりブレザー!絶対カッコいいよ…零の制服姿。
ね、どんな高校生だったの?」
「どんなって…普通の、男子高校生だよ。」
「普通の男子高校生が、今3つの顔を持つ男になってるの?」
そんなワケないでしょ?と零を見ると、うーんと宙を向いて自分の高校時代を必死に思い出しているようだ。
「…強いて言うなら成績は常にトップだったな…」
「強いて言うならって…
使い方おかしいよそれ!」
「まあまあ。
リラは?どんな高校生だった?」
今度は零にそっくり同じ質問を返され、わたしも同じように宙を見上げて自分の高校生活を振り返る。
「どんなって…普通の…
じゃないか。芸能科がある高校だったし。
その頃はもう仕事してたからな…」
「15でデビューって言ってたな」
「うん。中3。
その時、そのアイドルグループの人気が凄まじくて、ほとんど授業受けられなかったなー…」
そう。
思い返せば仕事ばかりで、普通の高校生が送るような生活とは程遠い3年間だった。
授業は出られない
遠足や体育祭も不参加。
卒業式も午前中だけ出て、午後からはすぐに仕事。