【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第41章 降谷先輩 ☆
学生時代、小鳥遊に告白されたことを言った途端、リラの表情が変わった。
大きな目をまんまるに見開いたかと思えば、そのままその顔は膨れっ面に変わっていく。
「…告白されたんだ」
「断ったけどね」
そう言うと、リラの表情は少しだけ和らぐ。
ポーカーフェイスを忘れがちなのは僕だけかと思っていたけれど、君もだな…
「でも、告白してきた女の子の顔を忘れるなんて、そんなことある?」
リラの表情の変化が楽しくて、僕はつい意地悪をしてしまう。
「まあ、卒業式だけでも4人に告白されたし…
他もカウントすると流石に全部覚えられないから」
「…そんなにたくさん告白されたことあるんだ…」
案の定、今度はしょんぼりと眉を下げて、泣きそうな顔して下を向いた。
可愛いがすぎる…
「リラだって、告白されたことたくさんあるだろ?
…前だって、藤亜蘭に…」
「うん。ある。
わたしも数えきれないから覚えてない」
リラを宥めようとしたが、その一言で一気に返り討ちに遭った。
そりゃ、そうだよな。
芸能人なんだから、モテないはずがない。
けれどリラは、不服そうに僕を見た。
「でも、わたしの知名度目当てかな?っていつも思ってたから…
零みたいに、学生時代に純粋に人から好かれたってわけじゃないもの」
そう言いながら、リラは僕の身体にぎゅっと抱きついてくる。
「その子に取られるの、やだ…」
「リラ…」
ぎゅっと僕の身体に顔を埋めて拗ねるリラを、僕は抱きしめ返しながら髪を撫でて言う。
「リラはリラ自身が魅力的なんだよ。
もしリラの歌を、その辺の路上で聴いたとしても、僕は君を好きになったよ」
「…他の子がいいって思わない?」
「思ったことない」
「…好き?」
「大好きだよ」
そう言って、リラの唇をキスで塞いだ。
ちゅ…
チュ…
「今日は夜更かしできるって本当?」
「…ほんと…」
そう言葉を交わして、2人の甘い夜が流れていった。
*
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