【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第41章 降谷先輩 ☆
零はわたしをぎゅっと抱きしめたまま、その理由を話し始める。
「今日の依頼人が、ストーカー被害に遭ってて。
リラと初めて会った時のこと思い出したよ。
まあ、今思えばあのストーカー事件があったから、こうしていられるんだけど…」
「零が守ってくれたから…
あれからは一切無いよ?
ずっと零がそばにいるから、ストーカーなんて現れないよ」
そう言いながら零の身体に擦り寄ると、零は優しく微笑みながらわたしの頭を撫でた。
そして、その依頼人の話を続ける。
「今日の依頼人、実は僕の学生時代の知り合いだったんだ」
「…え?そうなの?」
「あぁ。高校時代の。
もっとも、僕は今日顔見ても思い出せなくて、言われてから気付いたんだけどな」
そう言う零に、わたしは深く考えずにその話を広げた。
次に零が発する言葉に、時が止まると言うことも知らずに。
「へぇ。同級生だったの?
顔見ても思い出せないって、違うクラスだったとか?」
「いや?ひとつ下の学年で…
卒業式の日、その子に告白されたんだけど、顔を全然覚えていなくて」
「え…こ、こくはく?」
開いた口が塞がらないとは、まさにこのことだ。
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