【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第41章 降谷先輩 ☆
きっと、安室という苗字が珍しい。と思っているにちがいない。
初対面の人に高確率でそう言われるから。
「珍しい名字ですよね」
「あ、いえ…
私も名刺を…」
そう言ってその女性も仕事の名刺を差し出してきた。
受け取って書かれている内容を見ると
名前は 小鳥遊 夢
肩書きは ウェブデザイナー
そう書いてある。
「たかなし、ゆめさん。」
「珍しいでしょ?私の苗字も」
「ええ。珍しさで言うと、僕の負けですね」
「ふふ。なんの勝負ですか」
苗字が珍しいという共通項で一通り盛り上がった後、本題へと話の進路を戻した。
「それで?
メールではストーカー被害に遭っているから調査してほしいと書かれていましたが、具体的には…?
言える範囲で構いません」
「仕事の帰りに、誰かに尾けられている気がしたり、個人のメールアドレスにこんなメールが届いたり…同じものが仕事のメールアドレスにも…」
そう言って見せられたスマホ画面には
愛する君のことをずっと見てるよ
そう書かれたメールが表示されていた。
「他にも、夜中に非通知で急に電話がかかってきて、出てみたら、はぁはぁって荒い息遣いが聞こえてきて…怖くなって…」
そこまで話すと、小鳥遊さんは肩を震わせて俯き、それ以上話さなくなった。
まあ当然か。
得体の知れない誰かに付き纏われて、恐怖で夜も満足に眠れないだろうしな…
「失礼ですが、1人暮らしですか?」
「えぇ。実家に帰ろうかとも思ったんですけど、今の職場からのアクセスを考えたらなかなか…」
「そうですか…
とりあえず、僕はあなた宛に届いたメールから、その送り主の情報を調べてみます。
…あとは、1日あなたを張り込みして、その間に不審人物がいないかの割り出しを。
今日はひとまず、自宅に帰っていただくことになります」
「はい。よろしくお願いします。」
お互いの電話番号を交換し、僕が一日安室透に使える明後日に、一日張り込みすることを取り決めた。
「じゃあ、何かあったら電話してください」