【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第41章 降谷先輩 ☆
閉店後、店の後片付けを一通り終えた僕は、依頼人が来るのをカウンターの椅子に座って待っていた。
スマホを見ると、リラからLINEが来ている。
「今日はめずらしく早く帰ったから、ご飯作っておくね!
ポトフにするよー!」
そのメッセージと一緒に、ウサギのスタンプが送られてきた。
「ふ…このウサギ、リラにそっくり」
彼女が送ってきたこのスタンプですら可愛いと思うんだから、ヤバいな…
そう思いながら、リラに返事を返す。
「ありがとう。
今日は依頼人と打ち合わせだから、遅くなりそう。
先に食べて、寝ていてください」
「わかった!
お仕事、がんばってね!」
リラに頑張ってと言われるだけで、頑張れる僕は、そのメッセージを見て、よし。と気合を入れた後、今か今かと依頼人の到着を待っていた。
約束の時間から10分経過したころ、ポアロのドアが開く音がカランコロンと響いた。
中に入ってきたのは、小柄な女性。
僕を見るなり、ぺこっと頭を下げた。
「すみません!道に迷ってしまって…遅くなりました!」
「いえ。大丈夫ですよ。
じゃあこちらへどうぞ」
そう言ってポアロのソファー席に腰掛けてもらう。
「すみません、閉店してコーヒーメーカー綺麗にしてしまったので、冷たいものでも大丈夫ですか?
アイスコーヒーか、アイスティーか…」
「…あ、じゃあ、レモンティーください」
そう言われ、僕はグラスにアイスティーを注ぎ、カットレモンを添えてストローを刺し、その女性に提供した。
そして、安室透の名刺を手渡す。
「安室透といいます。改めまして、よろしく」
「…安室…」
その名刺を見て、意味ありげに呟いた彼女を、僕は首を傾げて見た。