【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第6章 First kiss
そう思ったのも束の間、わたしのスマホがブルって、着信画面に表示された名前を見ると無条件に胸がドキッと鳴った。
「あら?新しい彼氏?」
「ちっ!違います!」
「そんな、慌てて否定しなくても…」
彼氏じゃない!
ただ、ご迷惑をかけて一緒に住まわせていただいてる同居人で…
彼氏なんかじゃ…
それに、安室さんはまだ元カノのこと好きで、引きずってて、もしかしたらそのうち復縁するかもしれないし…
そう否定的に思えば思うほど、わたしの頭とは裏腹に心がズキ…と痛む。
安室さんの笑った顔とか、ぽんぽんと頭を撫でる手とか、不意に思い出してしまう。
「出なくていいの?」
メイクさんにそう言われ、ハッと我に帰ったわたしは慌てて通話ボタンを押した。
「はい!」
「忙しいのにすみません。
2分だけ大丈夫ですか?」
受話器から聞こえる優しい声に、胸が苦しくなる。
わたしが忙しいと気を遣ってくれているみたいだけど、安室さんの方もすこしだけ急いでいるように聞こえた。