【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第6章 First kiss
安室さんにとって、わたしはただの同居人で
なんなら期間限定で仕方なく一緒にいるだけで
この間、あんな風に押し倒してきたのも魔がさしたからで、冗談で…
そんなことを、この間からずっと頭の中でぐるぐる考えてる。
「Lila?…おーい!Lila?!…リラちゃん?!」
「えっ!?」
パンパンッと突然目の前で手を叩かれて、ハッと我に帰った。
ぼーーっとしていたわたしを、仲良しのメイクさんが心配そうに見つめて来る。
「どうしたの?疲れが溜まってるんじゃない?」
「ううん。ごめん、ちょっと考え事」
疲れが溜まってるわけじゃない。
あの夜のことが、頭から離れないだけ…
あれから数日経った。
相変わらず、安室さんと同じベッドで眠る日々が続く。
セミダブルベッドの端と端
安室さんは、まるで地雷を踏まないように限界まで端によって眠る。
わたしは、それが少し寂しかったりする。
安室さんが、わたしを見つめる目が、頭から離れない。
あの夜、もしあのまま、わたしが首を縦に振っていたらどうなっていたの…?
今わたしが、くっついて眠りたいと言ったら、安室さんはどんな反応をするかな…?
考えただけで、胸の奥がツンとなる。
気付いたら、事あるごとに安室さんのことを考えてる自分がいて、そろそろ誤魔化しが効かなくなっている。
「そう言えば、もうすぐね。武道館ライブ」
「あ!そうなんですー!
もう今から気合い入りまくりです!」
「どんなヘアメイクにするか、打ち合わせするの楽しみね」
メイクさんがわたしの髪を巻きながら、楽しそうに話を続けた。
そう。もうすぐずっと楽しみにしていた武道館ライブだ。
衣装やステージ演出、セットリスト、全て自分でプロデュースした思い入れのあるライブ。
絶対成功させたい。
そうよ。今は恋なんてしてる暇ない。
仕事第一!