【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第40章 わたしの恋人は
安室side
無数のシャッターが落ちる中、僕とリラはRX-7に乗り込み、そのまま自宅へと向かった。
リラは一般人の恋人がいると堂々と宣言し、その後に顔を隠した男が彼女を迎えに来た。
きっと、明日からしばらくはこの話題で持ちきりだろうな。
だけど少しだけ嬉しくもあった。
これまで、リラと付き合っていることは出来る限り悟られないようにしていたけれど、これからは堂々とリラの彼氏だと名乗っていい。
そう思っていると助手席から窓の外を眺めていたリラがポツリと呟いた。
「これで、零との関係は日本中公認になっちゃったね」
「まあ、君の恋人が僕だと特定されるのは時間の問題でしょうね」
「…公安警察は目立っちゃいけないのに…大丈夫なの?」
少し心配そうにするリラ。
そんなリラに、僕は試すようなことを言う。
「大丈夫じゃないって言ったら、別れる?」
「ぜ、絶対いや!」
慌ててムキになって言い返してくるリラを見て、僕はクスクスと笑いながら彼女の髪を撫でる。
「心配しなくても、僕の正体がバレるようなヘマ、しませんよ。
…それに、君のことも必ず僕が守るから」
「零が言うと、本当に大丈夫に思えるから不思議」
そう言って、僕の大好きな笑顔で笑ったリラ。
車が赤信号で止まった時、僕はたまらずリラの唇を奪った。
「んっ…」
「…好きよりも、もっと好きってなんて言えばいいんだろうな」
「…愛してる?とか?」
そうか。思えば今まで一度もリラにその言葉を言ったことはなかった。
と言うより、今までの人生の中ですら一度もない。
好きだけじゃ足りない気持ちを伝えたくて、僕はその言葉をリラに伝えようとした。
そのとき、
パァーーーッ!!!
後ろの車からクラクションが鳴り響く。前を見ると、とっくに信号が青になってた。
「…残念。また今度だ」
そう言って、車を再び走らせた僕。
思えばこの時、リラに愛してるとちゃんと伝えていれば良かった。
僕がその言葉をリラに伝えるのは
忘れられないあの日になるのだから
*
*