【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第40章 わたしの恋人は
カシャカシャと記者がシャッターを切る音が響く。
大丈夫なの?と心配そうに零を見つめると、零はわたしの髪を優しく撫でながら笑った。
「あの時みたいですね。」
「あの時…?」
「リラに初めて好きだと言った、あの生放送終わり。
こんな風に、車で迎えにきた。
ポアロのバイトをドタキャンしてね」
「え!まさか今日もドタキャンしてきたの!?
大丈夫なの?!」
「大丈夫だよ。
…リラに会いたくてたまらなくなったんだ」
そう言った零は、わたしを思い切り抱きしめた。
ぎゅ…っと力を込めて抱き締められると、安心して力が抜けて来る。
わたしの居場所は、零の腕の中だ…
心から、そう思えるから。
「零…あの、さっきからめちゃくちゃ写真撮られてるよ…?」
「知ってる。
じゃあ、もっとシャッターを切ってもらおうか」
「え…」
言ってる意味がわからないでぽかんと口を開けていると、零はそんなわたしの口を塞ぐみたいに、甘く唇を重ねた。
周りの記者はガシャガシャと夢中でシャッターを切っている。
おそらくさっきまでの2倍は撮られてる気がする。
ゆっくりと唇を離した零は、サングラス越しにわたしを見つめながら言う。
「リラ。好きだよ」
まるであの日みたいに、好きだという言葉をくれた。
思わず、わたしの目から涙が溢れた。
ポロポロと頬を伝う涙を、零が優しく指で拭う。
「どうして泣くの」
「わかんない…涙が、勝手に…」
「…あの時も、こんなふうに泣いてたな。
初めて、涙を見せてくれたあの時」
わたしと同じで、あの日のことを一瞬一瞬全てちゃんと覚えていてくれていることが嬉しくて、涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま零に自分の気持ちを伝えた。
「零が好き。…大好き」
そう言って今度はわたしが零に飛びついて、もう一度甘いキスを交わした。
やっぱり、わたしは間違ってなかった。
世界中のひとに自慢して回りたい。
この人が、わたしの恋人なんだって。
わたしの、恋人。
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