【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第40章 わたしの恋人は
「…凄い…かっこいいー!」
「よかったですね!安室さん!」
ホォーとiPadの画面内のLilaに見惚れる園子さん。
その隣にいた蘭さんによかったですねと言われた僕は、即座につけていたエプロンを外した。
「安室くん、コーヒー豆の補充なんだけど…」
ちょうどそのタイミングで、裏にいたポアロのマスターがホールに出てきて、僕にコーヒー豆の入った袋を手渡して来る。
僕はそれを、外してエプロンと一緒にマスターに返した。
「すみません。マスター」
「え?!な、なに?どうしたの?」
「…今日、バイト早上がりします」
「ま、またかい??」
驚くマスターをよそに、僕は即座にポアロを出た。
あ、安室くーん!
とマスターが僕の名前を呼んでいたけれど、僕は一目散に自分の車を停めてある駐車場に向かった。
このシチュエーション、あの時みたいだ。
リラがテレビで僕のことをもっと知りたいと言ってくれた時
自分の正直な気持ちをリラに伝えようと走り出したあの時
初めて、リラに好きだよと言ったあの日
運転席に座った僕は、ハンドルを握るとぽつりと呟いた。
「同じだな…そして不思議だ。
あの頃よりもっと、リラのことを好きになってる」
諦めたように笑って、僕はサイドブレーキを下ろし、アクセル全開にして車を発進させた。