【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第40章 わたしの恋人は
安室side
「…いいえ?
わたしのパートナーは、別にいるので」
リラの凛とした声が、確かにそう言ったのが聞こえて来た。
ポアロにいた毛利先生に蘭さん、コナンくんは一斉に園子さんのipadを覗き込んだ。
僕も思わずその後ろに立ち、その画面に映るリラを遠くから見つめた。
どなたですか!?と言う記者の質問に、リラはいつも僕に見せる幸せそうな笑顔で答える。
「一般の方です。
わたしより年上で、いつも優しくて、頼り甲斐があって、わたしの弱いところも、強がりなところも全部丸ごと包んでくれるひと。」
iPadの画面に釘付けだった面々は、その言葉を聞いて今度は一斉に僕の顔を見た。
「な、なんですか?」
突然注目を浴びた僕は、慌ててそれぞれの顔を見た。
蘭さんはそんな僕に嬉しそうに言う。
「安室さんがそんな顔するの、初めて見ました」
「そんな顔?」
「もう!とぼけちゃって!
Lilaの今の発言で顔赤くしてたじゃなーい!」
ウリウリ〜と膝で僕を小突きながら揶揄う園子さん。
まずい。
どうやら完全にまたポーカーフェイスを忘れていたらしい。
さらに記者の質問は意地悪かつ悪質で、今度は藤さんの方がアーティストの悩みや苦しみを分かち合えるのでは?なんて質問が飛び出した。
「なーに?!この記者、ムカつくわねぇ!」
「芸能記者なんてこんなもんだよ。
あー、これがヨーコちゃんじゃなくてよかったぜ」
「Lilaさん…こんなこと言われてかわいそう」
と、反応はそれぞれだが、当のリラ本人は、毅然とした態度でそれに応えた。
「わたしは!
悩みや苦しみを分け合う人が欲しいんじゃない。」
リラのその一言で場の空気は一気に変わった。
そして、真剣な顔をしてその記者に答えを続ける。
「わたしが、一緒にいて心地いい人が良いんです。
それが、今の彼できっとこの先も彼以上の人は現れないです。
今回のコラボも、わたしが書いた楽曲はすべて彼との思い出を歌にしました。
共感しながら聴いてもらえると、嬉しいです」
そう言って頭を下げるリラに、無数のシャッターが鳴り響いた。