【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第40章 わたしの恋人は
司会者からは、今回のコラボ楽曲についての質問のみで、内心ホッとしていたのも束の間、記者質問に移った瞬間、やはり予想通りの質問が飛んできた。
「この間、藤さんがLilaさんの肩を抱いているところがスクープされましたよね?
ズバリ、お二人の関係は?!」
事務所からは、ノーコメントを貫けと言われている。少なくとも、リリースしてしばらく経つまでは。
わたしは濁すように、当たり障りのない回答をした。
「大切なビジネスパートナーです。
今回のコラボは藤さんに大変お世話になって…」
「ビジネス以外に私生活でもパートナーなんじゃないですか?」
さすが鋭いそしてしつこいで有名な週刊ジャーナル。
わたしの建前で塗り固めた回答なんて相手にせず、核心をつく質問を投げて来た。
ノーコメントです
皆様のご想像にお任せします
他にも、色々な回答が浮かんでいたのに、わたしから口をついて出た言葉はあまりにも正直だ。
「…いいえ?
わたしのパートナーは、別にいるので」
突然のわたしのカミングアウトに、その場は騒然となった。
しまった。
つい言ってしまった…
舞台袖をチラ見すると、山岸さんがあぁあぁ…と頭を抱えているのが見えた。
山岸さん…ごめん!!
と、心の中で謝るわたしは、記者からの次の質問を受ける。
「どなたですか?!」
「…一般の方です。
わたしより年上で、いつも優しくて、頼り甲斐があって、わたしの弱いところも、強がりなところも全部丸ごと包んでくれるひと。」