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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第39章 スキャンダルのその先は ☆




安室side


スタジオの中で、残された藤亜蘭との間に微妙な空気が流れた。

よく考えたら、僕が正式な恋人なんだから、堂々としていれば良いんだ。

そう思い直した僕は、まるで宣戦布告するように藤亜蘭に声をかける。


「どうも。リラがお世話になっています」

「いや?別に何もお世話してないよ。」


僕の嫌味たっぷりなその言葉に一切動じず、藤亜蘭は至ってクールな顔で僕を見た。

その態度にカチンときた僕は、思わず建前を取り払い本音を彼にぶつける。


「言っておきますが、あんな記事、全く相手にしていませんから。
リラは何度も僕に釈明してくれたし、僕以外誰も好きじゃないと言ってくれた。
あなたの入る隙間なんて、ありませんよ」


僕にしては珍しく鋭い言い方だったと思う。

けれど藤亜蘭はそんな僕に開き直ったようにカウンターを繰り出す。


「へえ。じゃあこっちも、本気で行くことにする。」

「…?!」

「同じ、音楽を生業とする者のほうが、あいつの悩みや、苦しみ、痛みも全部分け合ってやれる。
俺の方があいつを理解してやれる。」


僕がリラと付き合ってからずっと慢性的に思っていることを、そのまま宣戦布告に使われた気分だ。

もしも僕が歌手だったら、リラの苦しみや痛みを半分背負ってやることができたんだろうか。

そんな僕に、藤亜蘭はさらにダメ押しでアピールをしてくる。


「あんたから、Lilaを奪ってやるよ。」

「やれるものなら。」


男2人の静かなコングが鳴り響いた瞬間だった。





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