【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第39章 スキャンダルのその先は ☆
自宅マンションのエントランスをくぐる時、こんなに気が重いことはあっただろうか。
零はあの記事見たかな…
というか、SNSでこんなに話題になってるんだし、知ってるよね。
トレンド一位が嬉しくないのはきっと今日が初めてだ。
また、零に冷たくされたらどうしよう。
そして今度こそ、愛想を尽かされたらどうしよう。
わたしは結局、零の彼女に相応しくないのかもしれない。
そんな思いが込み上げてきて、玄関ドアを開ける時には目に涙が溜まった。
泣くな…
わたしが悪いのに、泣いちゃダメだ。
グッと堪えて、ドアを開けた。
「た、ただいま」
ただいまを言う声が少し震えた。
そのまま、ゆっくりとリビングのドアを開けると、キッチンに立っていた零がわたしを見つけて笑顔を向けた。
「あぁ。おかえり、リラ」
「…零」
「お腹すいてるだろ?
今日はリラが好きなエビのフリットを作ったんだ。」
そう言って優しく笑う零を見て、わたしの良心がずきんと痛んだ。
「っ…零。
話があるの」
はやく、ちゃんと話さないと。
そう思いながら零を見ると、零はコンロの火をパチンと止めた後、わたしをまっすぐな目で見つめた。
「知っていますよ。
藤亜蘭との噂のこと」
「っ…!あのね、あれは…」
「知ってる。誤解だってことも。」
「え…」
「リラから理由を聞かなくても、わかるよ。
リラは僕を裏切るような子じゃないと、知ってるから」