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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第38章 零じゃなきゃ ☆




喧嘩していたことなんか、すっかり無かったことだ。

そんな甘い時間が流れかけた時、突然、リラが何かを思い出したかのように声を上げた。


「…あ。」

「?どうした?」


僕が首を傾げてリラを見ると、途端に申し訳なさそうな顔をしながら、恐る恐る口を開く。


「あのね、零に言わなきゃいけないことがあって…怒らないって約束してくれる?」

「なに?」

「怒らない?」


怒らないよ。とは即答できず、とりあえず話の内容を確認しようとする僕に、リラは上目遣いを駆使してダメ押しで聞いてくる。

その手には乗らない…
そんなうるうるした瞳で見つめられても僕は…


「…怒らないよ」


思考と真逆の言葉が口を突いて出てきたことに、僕はガクッッと自分に呆れながら肩を落とした。


「本当?」


ぱああっと顔を明るくして、よかったー!と可愛い顔して笑うリラ。

まあいいか。
こんなに可愛くて愛しいリラを怒るなんて、あるはずがないもんな。

そう思った僕に、リラは容赦ない現実を突きつけてくる。


「藤さんに、好きって言われました」

「………え?」


明らかに普段より1オクターブ低い声が僕から出た。
それを聞いて、リラは少し怯えながらも続けた。


「今日、雨降ってたから車でもらったんだけど、その時に…」

「車で送ってもらった???」

「う、うん…」


その言葉を聞いて、僕はにこり。と笑ってリラに言う。


「リラ。ちょっと起きて座ろうか」

「え!」

「起きて、正座して?」


戸惑うリラを問答無用で起き上がらせ、ベッドの上に正座をさせる僕。


「リラ。知らない人の車に乗っちゃいけないと小さい頃教わりませんでしたか?」

「…知ってる人だよ?」

「…じゃあ、今度からはこう覚えてください。
僕以外の男の車には乗らない。」


まるで小学校の先生が小学生の女の子に教えるみたいに丁寧な口調でそう説明する僕に、リラは至って純粋な目で質問を返してくる。


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