【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第38章 零じゃなきゃ ☆
「リラ…嫉妬したんだ。
リラがレコーディングで彼の歌を聴いて泣いてたのを見て。
僕が初めてリラの歌を聴いた時と、同じだったから。
そのうち、リラはあの人のことが好きになるんじゃないかって。」
「っ…ならないよ。
零が隣にいるなら、他に何もいらない…
どこにも、行かないでよ…」
必死にそう言いながら、リラは僕の身体をぎゅっと抱きしめた。
まるで、自分が僕の腕の中にいるのを確かめるみたいに。
「うん…ごめん…
冷たくしてごめん。
リラ?こっち向いて?」
「イヤ。泣いてて顔ブサイクだから」
「どんなリラでも可愛いよ」
耳元でそう囁くと、リラは少し迷った後、観念してゆっくり僕の方を見た。
泣いてて赤くなった鼻が可愛くて、愛しくて思わずリラの頬を撫でる。
「…ん…」
「ほら。可愛い。
僕のこと、好きって顔してる。」
「好きだから…」
「うん。けど、残念ながら、リラの負けだ。」
「え?」
「僕の方が、君のことを大好きだからね」
そう言うと、僕はリラの唇を奪った。
僕は大切なことを忘れていた。
リラに相応しいとか、相応しくないとか、そんなもの最初から相応しくないに決まってる。
僕はただの一般人。
リラはみんなが羨む歌姫。
一目瞭然だ。
けれどリラのことを好きだと言う気持ちは誰にも負けない。
それが唯一、僕がリラを想っていると胸を張って言える事実だ。
「リラ…」
「ん…?」
「僕は世界で一番、君のことが好きだ。そして」
僕はリラを抱き上げた。
驚くリラをそのままベッドルームに連れていくと、ベッドの上に優しく下ろして耳元で囁く。
「君のことを世界で一番好いているのは、僕だ」
そう言って、愛しいリラの唇を奪った。