【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第38章 零じゃなきゃ ☆
普段はあまり泣かないリラが、ポロポロと大粒の涙を零しながら、必死に僕に想いを伝えようとしてくれる姿を見て、僕はたまらなくなりリラを抱きしめた。
「リラ…」
あぁ。やっぱり好きだ…
リラのこと、掃いて捨てるほどいる女の一人なんてどうしたって思えない。
唯一無二の、僕の愛する恋人だ。
腕の中に閉じ込めたリラは、ビクッと身体を震わせた後、安心したように力を抜いて、僕の胸に顔を埋めた。
「零…ッ…ぅ…っく…
すき…っ…ひっ…」
「リラ…ごめん…不安にさせてごめん。」
「ごめんは…いらな…
好き?」
しゃくり上げて泣くリラは、僕にそう聞いた。
僕は、リラの身体をもう一度壊れるぐらい強く抱きしめて、リラの耳元で何度も囁いた。
「好きだよ。
リラ…好き。大好きだ…」
「っぅ…ッ」
リラの髪から、僕の大好きな匂いがする。
ただの嫉妬だったんだ。
僕よりも、あの男の方がリラのことを分かってやれるのでは?
そんなことを思ったから。
それが、こんなにリラを泣かせることになるなら、もう彼のことなんかどうでも良くなった。