【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第38章 零じゃなきゃ ☆
安室side
ベルモットを自宅まで送り届け、僕が自分のマンション前に着いたのは夜22時。
昨日のリラとの不穏なやりとりからの、寝ずに黒の組織の潜入捜査。
正直、ここ最近で1番疲れている気がする。
リラは、帰ってきてるだろうか。
帰ったら話そう。
そう言っていたけど、まともに話ができるほど頭が回る気がしない。
今にも寝てしまいそうなぐらいボーッとする頭を押さえながら、僕は鍵を回して玄関のドアを開けた。
家の中に足を踏み入れ、ただいまを言うよりも前。
部屋の奥からリラが走ってくる音がした。
バタバタバタ…ガチャッ
勢いよくリビングのドアが開き、リラが僕を見て目を見開いた。
そして、慌てたように何か話し出す。
「おかえりっ…
あの、仕事、大変だった?
…じゃなくて、お疲れ様!…っ
えと…零の好きなもの作って待ってようと思ったんだけど、わたしも仕事が終わるの遅くて…
っ…どうでもいいよね、そんな話…
えっと…」
必死で、僕と何か話そうと、無理に明るく振る舞って途切れ途切れに言葉を繋ぐリラ。
無理して笑うリラの表情が、だんだんと歪んでくる。
「っ…れ…い…ッ」
僕の名前を呼んだ瞬間、リラは堪えきれずに涙をこぼした。
「零っ…れ…れいっ…
好きだよ…零だけしか好きじゃないよ」