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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第38章 零じゃなきゃ ☆




何なの…あんなこと言っておいて平然として…
一人でオロオロしてるわたしがバカみたいじゃない。

そう思うとわたしは即座に助手席を降り、半分怒っている状態でぶっきらぼうに頭を下げた。


「送ってくれて、ありがとうございました」

「いいよ。車だし。
…あのさ、さっきの話信じてないだろ?」

「そ、そりゃ…」


信じられるわけないでしょ?!
あんなに嫌いって言ってたのに!

けれど藤さんは、今までに見たことないような真剣な顔で、わたしの目を見ながら言う。


「好きだ。あんたが好き。」

「ど…どこが…?どうして…」

「レコーディングのとき、あんたが命かけて歌ってる姿見て。」


と、具体的に理由を言われるとそれ以上否定することは出来ず、照れ臭さと気持ちに応えられない申し訳無さが複雑にわたしを占領する。


「ご…めんなさ…
わたしは、零以外考えられないです…」

「…知ってる。
まあ、こんな気持ち、どうせすぐ無くなるから。
仕事の時は普通にしてくれ。」

「…はい。あの、でもありがとうございました。」

「え?」

「誰かに好きって言われて、嬉しくない人間なんていないです。
気持ちは、本当に嬉しかったです。」


そう言ってぺこりと頭を下げると、藤さんはフッと笑った後、そのままマセラティをUターンさせ、自宅へと発進させた。


藤さんのこと好きで、付き合いたいと思ってる女の子は、きっと日本中に星の数ほどいる。

そんな人に告白されても、わたしの心は相変わらず零のことしか考えられない。


零以外いらない。
零じゃなきゃ、ダメなの…



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