【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第38章 零じゃなきゃ ☆
俺にしろって…それは、零と別れて藤さんと付き合えってこと?
それ以外の意味がわたしには分からず、狼狽えながら藤さんを見た。
「あ、の…藤さん?
冗談…」
「そんな辛そうな顔して、見てられない。」
あ…なんだ。同情か…
きっと同情で、俺にしろ。なんて慰めをくれたのか…
内心ホッとしていると、藤さんは一瞬でそれを覆してくる。
「俺、…あんたのこと、好きだ」
「好きって…え…?
それは、好きな食べ物とか好きな動物とかそう言う好き?です…よね?」
いわゆるloveではなくlikeの好きでしょ?
まさかあの藤亜蘭がわたしに恋に落ちるなんて、そんなことあるわけがない。
そう思ったわたしを簡単に裏切ってくる。
「いや?…普通に。恋愛感情」
「え!!!?
いやいや!藤さんわたしのこと超嫌ってましたよね!?」
「あー?そうだっけ?」
「そうですよ!!
ゴキブリ見るような目で見てきましたよ!?」
「そ?最初から、可愛いって思ってたけど?」
「う、嘘つき!!」
そんなストレートにズバッと言われるのに弱いわたしは、ボッと顔を真っ赤にして怒る。
まずい。このままじゃ藤さんのペースだ。
「わたしのこと、嫌いってはっきり言ってましたよ!ほら、初めての打ち合わせで!
わたしがお茶ぶっかける直前!」
「よく覚えてんなあ。
…ほら、着いたぞ。」
「え?!あ、ほんとだ…」
気付いたら自宅に到着していた。