【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第38章 零じゃなきゃ ☆
翌朝
目を覚ましたわたしは、ベッドの隣を見た。
いつものように、半分だけ空けて眠ったけれど、空っぽのままだった。
結局零は帰って来なかったのだ。
夜通し、仕事になるかもって言ってたから仕方がない。
そう思うと同時に、もしこのまま零が帰って来なかったらどうしよう。
そんな不安が押し寄せてくる。
わたしの仕事は、零を悲しませるばかりなのかな?
ドラマに出演した時も、今回も。
零のこと怒らせてばかりだ。
もしかしたら、復帰しなかった方が良かった?
歌声を失ったまま、零のために料理を作って、零の帰りを待つのを心待ちにする毎日。
あのままの方が、幸せだった?
考えても分からなくて、わたしは日課のランニングに出かけた。
走って、邪念を振り払おう。
何だかんだ言っても、今日だって仕事だ。
しっかりしないと。
何度もそう言い聞かせるのに、頭に浮かぶのは零の怒った顔ばかり。
これまでの恋愛は、たとえ彼氏と喧嘩しようと別れようと、傷ついたりすることはなかった。
その恋の終わりの曲を書けば、次の日にはケロッといつもの日常に戻る。
それが、零相手だと180度違う。
今わたしの頭を埋め尽くすのは、
零のことばかり
零のことだけ
これって、良い関係だと言えるの?