【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第37章 ずるい
ハッと後ろを見ると、テレビで見た藤亜蘭が周りのスタッフに挨拶をしながら気だるそうにこちらに向かって来た。
僕よりも、身長が高いんだな…
歳は…僕と同い年ぐらいか?少し上?
高身長、イケボにイケメン
なるほど?園子さんや蘭さんが騒ぐ理由がわかる。
リラを初めて生で見た時も思ったが、やはり芸能人。
その辺のイケメンとは格が違う。
藤亜蘭に気付いたリラは、ペコっと頭を下げながら言う。
「藤さん!今日はよろしくお願いします。
…お手柔らかに」
「…そのひと、誰?」
リラのよろしくお願いしますには反応せず、僕の方を見ながら聞いた。
「あ、えっと…」
「この人は、安室透さん。
Lilaの恋人なんだ。
今日は僕が無理言って来てもらったんだよ。」
言いづらそうにしたリラの代わりに、山岸さんがナイスフォローをする。
藤亜蘭は、ふーん。と言いながら、僕を見た。
綺麗な二重の切長の瞳とバチっと目が合うと、藤亜蘭はため息をつきながらリラを見る。
「男連れでレコーディングに来るの、あんたぐらいだ」
「お、お手柔らかにって言ったのに」
早速塩な対応をとる藤亜蘭。
なんだ。
藤亜蘭がリラを嫌いじゃないって言ったのは、イコール好きと言うわけではなさそうだ。
好きなら、こんなにそっけない態度は取らないだろうし。
そうホッとした僕は、甘かったということを、この後まざまざと見せつけられることになる。