【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第37章 ずるい
安室side
翌朝、僕はリラを乗せてレコーディングスタジオに向けて車を走らせていた。
今日はリラの歌を聴きにいくというのも大きな目的の一つだが、もう一つリラには言っていない目的がある。
藤亜蘭に、僕がリラの彼氏だと牽制すること。
さっき、冗談だと誤魔化したが実は本気。
それもある意味メインミッションだ。
純粋なリラが無垢な笑顔で、「藤さん、わたしのこと嫌いじゃないって」と言った日から、ずっと引っかかっていた。
きっとその答えは、実際に会ってリラを見る目を見れば一目瞭然だろう。
そんな隠れミッションを胸に抱きながら、無事時間通りスタジオに到着した。
レコーディングが行われるスタジオに移動して、ミキシングルームにいるスタッフにリラが挨拶する。
「おはようございますー!
今日はよろしくお願いします!」
「あ!Lila!それに安室さん!」
先に到着していた山岸さんが、僕たちの姿を見つけて駆け寄って来た。
「呼んでいただきありがとうございます」
「いやあ、良かったよ。ちょうど休みだったんだね。
終わったら一杯行こう」
「ちょっと!まずはレコーディングが無事に終わることを祈っててよ!」
もう早く飲みたい山岸さんは、リラに怒られてしょんぼりしている。
そんな時
「お疲れ様ですー。
よろしくお願いします」
後ろから、低くて艶のある綺麗な声がした。