【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第35章 ベテルギウス ☆
「じゃあ、もしかしたら600年後にわたしたちの生まれ変わりがこうやって手をつないで今のベテルギウスを見てるかもしれないね」
そう言って笑うと、零も一緒に笑った。
「ふ…生まれ変わっても僕たち一緒にいるの?」
「いないの?」
「…いる。10年後も、20年後も、100年後も600年後も、ずっと隣にいるよ」
そんな、まるでプロポーズみたいな尊い言葉をくれた零は、わたしの頬を手で包み、唇に優しくキスを落とした。
ちゅ…
と、唇を離して、零の瞳を見つめているとなんたか曲が書けそうな気がしてきた。
「ねぇ。今曲浮かんできた。
車の中でギター弾いてもいい?」
「もちろん。
寒いし、車の中で天体観測しよう」
零はわたしの手を引いて車に戻ると、わたしの肩にブランケットをかけてくれた。
わたしは積んでいたギターをケースから出し、ゆっくりと音を奏でる。
今日、零と話したこと。
零と600年後も一緒にいたい。
そんな思いを曲に乗せていく。
結局、零へのラブレターがわたしの曲になる。
藤さんは、それが嫌だと言っていたけれど、わたしにとってはこれが一番想いが乗る歌だと思うんだ。
大まかなメロディと歌詞がようやく完成した。
3日間、悩みに悩んでも書けなかった音楽が、零と一緒に星を見ただけであっさりと舞い降りてきた。
「零は、天才だね」
「天才はリラだろ?」
「ううん?零はわたしを光に導いてくれる天才!
…だから、お礼してもいい?」
「え…?」
驚く零をよそに、わたしは身を乗り出すと、後部座席で隣に座る零の膝の上に対面になるように跨った。
いつも見上げている零の顔を見下ろすなんて変な感じだ。
この角度からの降谷零も、余すところなく美しい。
零の金髪の前髪を撫でたあと、わたしはゆっくりと零の唇に自分の唇を重ねた。
ちゅ…ッ
「ん…」
唇を離すと白い吐息が2人から漏れ、それを塞ぐようにまたキスをする。
「んっ…リラ…」
「零…大好き…」
「止まらなくなるけど、いい?」
零はじっと上目遣いにわたしを見ながら言う。