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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第35章 ベテルギウス ☆




零に手を引かれるがままRX-7の助手席に乗り、到着した場所は都心から離れたところにある小高い丘の上だった。


「ここ?」


あたりは真っ暗で、思わず零の腕をギュッと掴んだ。
冬の空気がわたしの肌をさし、わたしが吐く息は白い。


「上見て?」

「上…」


そう言われて夜空を見上げると、満天の星が広がっていた。


「うわぁ…綺麗」


東京で暮らしてると、空を見上げることは殆どない。
夜はネオンが眩しくて星が霞む。

車で都心から離れるだけで、こんなに綺麗に星が見えるんだ…


「今日はオリオン座がよく見えるね」

「オリオン座?どれ?」


そう言って星を探すわたしの顔のすぐ横に零の顔が近づいてくる。
そして、わたしと同じ目線になって一緒に星を探してくれる。


「ほら、あのちょっと赤く光ってる一等星がベテルギウスだよ。」



そうして零が指差す先には、オリオン座の肩にあたるベテルギウスが見えた。


「ほんとだ…初めて見たかも…」


星を見るなんて、最後にしたのはいつだろう。

ほーっとベテルギウスからオリオン座を指でなぞっていると、零はわたしの肩を抱き寄せた。


「寒くない?」


そう言いながら、わたしの手を取ると、自分の口元に持っていき、はぁーっと息を吐きかけてくれる。


「ふ…零の息も真っ白だね」

「おそろいだな」


そう言って2人で白い息を吐きながら、零の腕の中に寄り添いながらまた夜空を見上げた。


「不思議だな…今見てるベテルギウス、僕たちに光が届いているのは約600年前のものなんだよ」

「600年前…」

「そう。光が地球に届くまでにそのぐらいかかるから。
ベテルギウスはもうすでに爆発してるんじゃないかとも言われてる。
もし今爆発していても、それを地球から目視できるのは600年後だ」

「果てしないね…」


大昔に、学校の授業でやったような気がするけれど、忘れてた。


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