【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第5章 背中に触れた時
青山の事務所の前で待っていると、目の前に白いRX-7が停まった。
あ、安室さんの車だ。
そう思っていると、安室さんが運転席から出てきてわたしのもとに駆け寄ってくる。
「リラ」
「あ、安室さん。急にすみません」
「いえ。…電話、初めてくれましたね。
嬉しかったです」
安室さんはわたしの目をじっと見ながらそんな殺し文句を平気で言う。
「ま、またそんなこと言って」
そんなこと言われたら、次から電話しづらくなるじゃない…
そんな風に思いながら、ぷいっとそっぽを向くわたし。
可愛くないな…こういうとこ。
そう思ってると、安室さんは笑いながら言う。
「はは。すみません。
君の反応が見たくて、つい。
…行きましょう」
とぼけた風に笑った後に、突然紳士な顔をしてわたしの肩を抱いた。
そして助手席のドアを開けると、わたしを車の中にエスコートする。
安室さん、絶対モテるだろうな…
安室さんの彼女は大変だな…
彼と初めて会ったときに思ったことと全く同じことを思いながら、わたしはもうすっかり乗り慣れた安室さんのRX-7の助手席に座った。