【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第35章 ベテルギウス ☆
「ただいまー!」
「おかえり」
帰宅すると、零がオーブンで何かを焼いていた。
わたしはキッチンに立つ零の元に走っていって、ぎゅーっと抱きつきながら彼の匂いを嗅いだ。
「んー!零ー!」
「ははっ。甘えん坊ですね」
顔を見るたびに好きが溢れてくるわたしはおかしいのかな?
わたしは零に抱きついたまま、零の手元を覗いた。
「何作ってるの?」
「今日はリラ、チートデイだろ?
オーブンでグラタン作ってた。」
「グラタン!大好き!!」
ちょうどお腹が空いてたわたしは、オーブンから漂う美味しそうな匂いに、ぐるるるとお腹を鳴らす。
思った以上の巨大な腹の虫に、零はぷっ…と吐き出しながら笑った。
「初めて僕の家に来た日も、そうやってお腹鳴らしてたな」
「そ、そうだっけ?」
なんてとぼけたフリしたけど、わたしもちゃんと覚えてるよ。
零との時間は全部、一瞬一瞬すべて覚えてる。
「リラとのことは、全部覚えてるよ」
そう言いながら、零はわたしの髪を撫でて、頬にキスをした。
わたしが心の中で思って隠してるようなことを、零は全部言葉にして伝えてくれる。
そんな零が好き。
「じゃあ、手洗って来て?
もうすぐ出来るから」
「うん!」
今度はわたしが、零のほっぺにキスをして、2人で顔を見合わせて笑ったあと、大急ぎで手を洗いに洗面台に向かった。