【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第35章 ベテルギウス ☆
数日前のこと
「え?コラボ?」
山岸さんが唐突に持って来た企画書の表紙に書かれた文字を見て、わたしは驚いて声を上げた。
「そう!同じレーベルの男女それぞれのナンバーワンアーティストがコラボする企画が立ち上がって、女性のナンバーワンはLilaが選ばれたんだ」
そう言いながら、山岸さんは企画資料のページをめくって見せた。
「ナンバーワンとか、恐れ多いよ…」
「自信持って!
歌声も完全復活したし、この企画は話題性はバツグンだからいい機会だよ。」
「まぁ、確かに復帰を大々的にアピールできるのは魅力的かも…」
そう言って捲られた資料のページに目を落とすと、男性アーティストのプロフィールが目に入った。
「藤 亜蘭 (ふじ あらん)…」
「そ!相手はあの藤くん」
藤 亜蘭とは、男性アーティストのナンバーワンの座をもう何年もキープしてる、文字通り天才だ。
作る曲はロックやポップス、エレクトロニック、R&Bなど様々で、歌詞も言葉選びが秀逸な天才ミュージシャン。
おまけに抱かれたい男No.1に殿堂入りしているぐらい、甘いマスクに高身長。
文字通り非の打ち所がない。
何度か音楽番組で共演したことはあるけど、ちゃんと話すのは初めてかも…
「なんか、こんなすごい人とコラボなんてますます恐れ多い…」
「まあまあ、そう言わずに!
早速来週打ち合わせをすることになったから。
プロモーションでしばらく忙しくなるぞー!」
大きな仕事が舞い込んできて、いつになく上機嫌の山岸さんをちょっと俯瞰で見ながら、まあでも男性アーティストとコラボなんて初めてだし、どんな作品が作れるのか楽しみかも…
とワクワクしてる自分もいた。