【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第34章 ふるやれい 7さい
安室side
さっきから、リラが僕をぬいぐるみみたいに抱っこして可愛い可愛いと連呼する。
嫌なわけではないが、男としては物凄く複雑な気分だ。
「零くん。夕飯、オムライスでいい?」
「あぁ。何でも…」
何故かくん付けで呼ぶリラ…
とにかく早く12時間が過ぎて、元の身体に戻りますようにと願う僕は、夕飯のメニューをリクエストしている余裕はなかった。
身体が縮んだとはいえ、中身は大人の僕は小さい身体でPCを開き、ソファーに座って仕事のメールを返していた。
この小さい手ではキーボードをタイプするのも一苦労だな…
「零くん、お仕事してるの?
偉いねえ!ちっちゃいおててでキーボード打ってるの?」
「…や、リラ。頼むから普通にしてください」
「だって零が可愛いんだもんー!!!」
ダメだ。会話が成り立たない。
初めてリラを呆れた目で見た気がする…
そう思いながら気を取り直してPCに目を落とすとリラが机の上に完成したオムライスを置いた。
「はい!零くんのぶん!」
「ありがとう。…?!」
出されたオムライスにはケチャップでヒヨコの絵が描いてある。
おまけに平仮名で「ふるやれい」と名前まで
幼稚園生ですか僕は
一応推定7歳ぐらいだぞ?!
度重なる子供扱いに辟易している僕に、リラはお構いなしにニコニコ笑顔で聞いてくる。
「嬉しい?ひよこ」
「…嬉しくない」
「えぇー!」
完全に子供扱いをするリラは、ひよこを描いたオムライスをしゅんと自分の方へ引っ込めた。