【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第5章 背中に触れた時
安室side
都内某所
半個室のカフェレストランに入った僕は、先に入って待っていた部下の名前を呼ぶ。
「待たせたな、風見」
「いえ。お疲れ様です、降谷さん」
僕の本名を呼ぶ部下は、そう言いながらメニューを手渡した。
店員に、アイスコーヒーを注文して椅子に座ると、風見が僕の顔を見て言った。
「降谷さんと対面して会うの、久しぶりですね。」
「あぁ、このところ、ちょっと立て込んでいたからな」
ふと、リラのことを思い出した。
今日は雑誌のインタビューだと言っていたな…
迎えにいったほうがいいんだろうか。
そう言えば、リラの番号をまだ知らない。
それに、僕の番号を教えたものの、まだ一度もかかってきたことはないな…
危ない目に遭っていないといいけど…
今日の夜は家で夕食を取ると言っていたし、低糖質の料理を何か作ってあげよう。
「降谷さん」
「…」
「降谷さん??」
「…あ、あぁ。どうした?」
思わず考え込んでしまった僕は、風見の呼びかけに二度目でようやく反応した。
「…いえ。降谷さん、もしかしてあの人と復縁されたんですか?」
「…なんだよそれ。嫌味か?
フラれたまんま。ただの友達だよ。」
風見には一度、元彼女を紹介したことがある。
これからきっと風見とも何度も顔を合わせるだろうと紹介したが、それきりになってしまったな。
それにしても、どうして復縁したと思ったんだこいつは。
そんな目で風見を見ると、風見は頭を掻きながら言う。
「なんだか降谷さん、顔が緩んでいる気がして」
「…上司に向かって、失礼な奴だな」
「す、すみません」
緩んでる?僕の顔が?
そんな馬鹿な。
なんなら、この1週間ずっとソファーで寝てるんだ。
身体は痛いし寝不足だし、むしろ顔は強張っていないとおかしい。