【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第33章 降谷零の右腕になるには ☆
タクシーがマンションについた。
零の荷物と自分の荷物を全て肩にかけ、オートロックを開けて中に入り、エレベーターのボタンを押して零が乗るまで見守る。
「そんな重病人じゃないんだから、そこまでしなくても…
左手は普通に使えるし」
「いいの!今日はわたし零のメイドさんだから!」
「…なんか、日本を代表する歌姫にこんなことさせて罪悪感が…」
逆に気を使う零をよそに、エレベーターがわたしたちの家のフロアに到着すると、すかさずボタンを押し、零が出たのを確認する。
そして、自分の自宅に小走りで向かい、ガチャッと鍵を開けてドアを開いた状態で零を待つ。
「どうぞ!」
「リラ…そこまでしなくていいから…」
「…逆に迷惑?」
「ううん。だけど少しトゥーマッチかな。」
「む…。じゃあ、助けが必要になったら言って?
その時は手伝うから」
「うん。そうしてもらえると助かるよ」
わたしのこのVIP待遇が流石にやりすぎだったらしい。
零に鬱陶しいと思われると本末転倒だと思ったわたしは、大人しく零を置いて自分の荷物を片付けるために脱衣所へ向かった。
ついでに洗濯機も回してしまおう。
そう思って、リビングのソファーに脱ぎ捨ててあった自分の部屋着をかき集め、ドラム式洗濯機に投げ入れた時、寝室の方から零の声がした。
「リラ…ちょっと」
「はい!なに?!何かお手伝い?」
ご主人様が呼んでる!と言わんばかりに反応したわたしは、即座に洗濯の作業を中断し、寝室へと走った。
あまりにもやる気満々に来たわたしを見て、零は少し目を見開いた。
「そんな…大したことじゃないんだけど…」
「なに?!何でも言って?」
「…悪いんだけど、部屋着に着替えたいからシャツのボタン外してくれる?
片手じゃ上手く外せなくて」
「なるほど!まかせて?」
元気よく返事をしたわたしは、零の白いシャツのボタンに指をかけた。
そして、一番上のボタンをぷつ…と外した時、零の鎖骨が覗いて思わず心臓がドキッと跳ねる。
なんか…とんでもなくエッチなんだけど…この時間。