【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第33章 降谷零の右腕になるには ☆
⚠︎本章はR18シーンがいつもより多いです
苦手な方はご注意ください
芝浜スタジアムから大学病院にタクシーで直行したわたしたち。
零の検査は1時間ほどで終わった。
病院の診察室の前のソファーで零が出てくるのを待ちながら、わたしは零の右腕が軽傷でありますようにとずっと祈っている。
すると、診察室のドアがガラッと音を立てて開いた。
そこから出てきた零。
その隣には綺麗な若い女医さんがいた。
「じゃあ、降谷さんお大事に。
…あまり無理しないでくださいね。
同期で元気なのは、もう降谷さんだけなんだから…」
「ありがとう。
もし万が一のことがあったら、君のお兄さんに茶化されそうだ。
降谷ちゃん、何ドジってこっち来てるんだよーって。」
「ふふ。言いそう。お兄ちゃん」
親しげに会話を交わす2人をぽかーんと見ているわたし。
その視線に気付いたのか、女医さんが気を遣って会話を終わらせた。
「じゃあ、わたしはこれで。
このあとオペなので」
「あぁ。じゃあまた」
「またがあっちゃ困ります!
怪我しなきゃここには来ないでしょ?」
そう言いながら可愛い笑顔で笑った女医さんは、白衣を翻してカツカツとヒールの音を鳴らして診察室へと戻っていった。
「零、今の人と知り合いなの?」
美人女医と知り合いなんて聞いてない…
まさか、元カノ?!
と、涼宮さんの一件でアレルギーがまだ残っているわたしは、新たなライバル?と身構える。
そんなわたしを見て、零は笑いながらわたしの髪を撫でた。
「彼女は僕の同期の妹。
元カノなんかじゃありませんよ」
「…心、読まれた…」
でもそっか。友達の妹か…良かった。
ホッと胸を撫で下ろし、零が持っている荷物を代わりに持ってあげた。
「じゃあ、タクシー捕まえて帰ろう?」
「あぁ。しばらくこの状態みたいなので、苦労かけると思いますが…」
「何言ってるの!
わたしのこと守ったときに負った怪我でしょ?
苦労なんかじゃないよ。当たり前だよ…」
「…ふ。そう言ってもらえると、ホッとするよ。
ありがとう。」
零が笑うと、胸がギュッとなる。
右手が使えない零の文字通り右腕になって見せる!
そう意気込んで、わたしたちは帰宅するためにタクシーに乗り込んだ。