【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第32章 Precious
「ねぇ。私たち、良いパートナーになれると思ったの。
仕事でも、プライベートでも」
そう言って零に熱い視線を向ける涼宮さん。
まずい。
このままじゃ零を取られちゃう…
即座に危険を察知したわたしは、思わず零にしがみつきながら2人の間に割って入った。
「ダメ!!!!!!!!」
「リラ??」
驚いてわたしの名前を呼ぶ零と、目を見開く涼宮さん。
その2人の表情を見る余裕すらないわたしは、必死に零の左腕をぎゅーーっと掴んで、涼宮さんに言った。
「零は…零はわたしのだから!
誰にもあげない!」
子供みたいなその行動に、自分が情けなくなる。
これはますます逆効果なのでは?
こんな子供っぽい彼女、タイプじゃないって言われたらおしまいだ。
自分が取った行動にサーッと血の気を引いていると、零は顔をくしゃくしゃにして笑った。
「っははは!」
お腹を抱えてひとしきり笑った後、わたしの頭をぽんぽんと撫でながら涼宮さんを見た。
「涼宮。僕はこの子のものだから」
そう言われた涼宮さんはわたしの方をジロ…と睨みながら言う。
「…人の話は最後まで聞いてくれる?
良いパートナーになれると思ったのに残念。
いくら頑張っても、降谷くんは振り向いてくれなそうだし、諦めるわ。
そう言おうとしたのよ。
…面倒な恋愛はごめんなの」
「…へ?あ、愛の告白じゃないの…?」
てっきり本気を出して口説きに来たのかと思っていたわたしは、間抜けな声を出す。