【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第32章 Precious
ライブは無事終了。
テロ事件もあれから新しい犯人は見つかっておらず、どうやら1人で計画した犯行だろうと警察の捜査も終了した。
楽屋で着替えてすぐに零のところへ行って、腕の怪我の具合確認しなきゃ。
そう思い、大急ぎで帰る支度を進めた。
「Lila、車を出すからちょっと待って」
「ううん!いい!
タクシーで帰るから!
じゃ、お疲れ様!」
律儀に送迎してくれようとする山岸さんの誘いを断り、わたしは一目散に零を探しに出た。
楽屋がある建物を出て公園をウロウロしながら零を探していると
「あれ?リラさん」
ふと本名を呼ばれ、振り返るとそこにいたのは風見さんだ。
「風見さん!」
「今日は災難でしたね。
私も応援要請を受けて少し前に駆けつけて…」
「そんなことより、零見なかった?!」
がしっと腕を掴まれ、とてもアイドルには見えない必死の形相で詰め寄ると、風見さんは少し慄きながらも向こうを指差した。
「降谷さんなら…あそこに」
指差す方を見ると、零と涼宮さんが2人で何かを話しているようだった。
それも、嫌に親しげに見える。
心がざわざわしながら近づいて行くと、とんでもない告白が耳に飛び込んできた。