【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第32章 Precious
マイナス思考のまま、いつものごとく、メイクさんにされるがままいると、コンコンッと楽屋をノックする音が聞こえた。
「はーい?」
スタッフの誰かかな?と特に気にせずに返事をすると、ガチャリと開いた扉から出てきた人物を見て、わたしは思わず目を見開いた。
「れ…」
そこに立っていたのは、零と涼宮さん。
思わず、零!と呼びそうになったわたしに気付くことなく、隣にいた山岸さんが声を上げる。
「え??あ、安室さん??」
「警察庁公安部の降谷です。
初めまして。」
山岸さんに安室さんと呼ばれた零は、あくまで初対面のふりをして警察手帳を見せた。
「え?あれ?安室さんじゃなくて…?
あれ??」
「や、山岸さん、えっと…」
混乱中の山岸さんに、わたしが何とかフォローを入れようとするけれど、全くいい案が思い浮かばない。
それどころか、わたしまであわあわして逆に怪しいぐらいだ。
すると隣にいた涼宮さんがにこりと微笑んで言う。
「同じく警察庁公安部の涼宮です。
降谷とポアロで働いている安室さんは実は双子の兄弟なんですよ。
私も初めて見た時びっくりしました」
「ふ、ふたご…なるほど…」
涼宮さんがあまりにも自然にそう説明するから、山岸さんはふむふむと納得している。
仕事ができる女の人という感じだ。