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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第32章 Precious




この1週間、零は今までに無いくらい忙しくしていて、
ポアロも休んでずっと公安警察の仕事だったようだ。

ただでさえ遅いわたしの就寝時間よりも遅く帰ってきて、わたしが目が覚めたらもう出かけている。

起きたときにベッドから香る零の残り香で、ちゃんと帰ってきてくれてたんだと気づくのが精一杯だ。

涼宮さんと一緒なんだろうな…

こんなに長い時間一緒にいて、わたしよりも涼宮さんのほうが良いって気付いてしまったらどうしよう。

そんな不安を抱きつつもわたしにはどうしようも出来ず、気付けばチャリティーイベント当日がやってきた。

楽屋でメイク中、大きなため息を吐いたわたしを、メイクさんが不思議そうに見た。


「Lila、なんか元気ないわね?
もう続々とお客さん入ってるわよ。」

「うんー…」


メイクさんに顔を弄られながらそう言われても、わたしの気分はイマイチ上がらない。


「どうしたの?悩み事?」

「ある人に、彼氏のことを狙うと宣戦布告されて…
その人、今彼氏と仕事のパートナー的な感じの人で…」


至って真剣に悩みを告白するわたしに、メイクさんは豪快に笑った。


「あははは。
日本中を魅了する大人気の歌姫に喧嘩売るなんて、相当根性あるわね。そのひと」

「笑い事じゃないですよ…
なんならその人に、
私の方が公私共に彼のことわかってあげられる。
とまで言われたんですよ?」

「へぇー?
じゃあそんなライバルなんて蹴散らせるぐらい、今からわたしがLilaをとびっきり可愛くしてあげるから!」


そう言って笑い飛ばすと、メイクさんはわたしの肌に美容液を塗布していく。

とびっきり可愛くなったら、涼宮さんに取られる心配なんてしなくて良くなるんだろうか…


零はきっと外見だけで人を好きになるような人じゃない。

人間的に涼宮さんのほうが魅力的なら、迷わずそっちにいくんじゃないかな…

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