【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第31章 警察官に相応しい彼女 ☆
夜、今日の仕事を全て終えたわたしは、自宅まで山岸さんに送ってもらった。
「じゃあLila。日曜はよろしく」
「もちろん!野外で歌うの好きだから楽しみ!」
そう言葉を交わして手を振り、マンションのエントランスを通って自宅の中に入ると、もう明かりがついている。
「零?」
わたしより先に零が帰宅していたようだ。
パタパタとスリッパの音を鳴らしてリビングに入ると、ソファーに座っている零は難しい顔をしてPCと睨めっこしていた。
わたしが帰ってきたことに気付いていない様子の彼に、目の前でヒラヒラと掌を仰ぎながら零の名前を呼んだ。
「れーい?」
「わ!びっくりした。
リラ。おかえり」
「どうしたの?何かすごく悩ましい顔してたよ?」
そう聞くと、零はふわりと笑ってわたしにぎゅっと抱きついてきた。
いつもは零の身体にわたしが飲み込まれるようにして抱きしめられるのに、今日はわたしの胸に零が顔を埋める形で。
「れ、零さん??」
「あぁ…癒される」
珍しい。
零がこんなふうに甘えてくるのは。
わたしは慣れない手つきで零のサラサラの金髪を撫でた。
わたしの指に通る零の髪が、気持ちいい。
「仕事でなにかあった?仕事で」
「まあちょっと…
リラ。今週末、どこで何してる?」
零は一瞬何か考え込んだ後、わたしにそんなことを聞いてくる。