【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第31章 警察官に相応しい彼女 ☆
安室side
朝からリラに行ってきますのキスをして、行ってらっしゃいのキスをもらい、車に乗り込んでバックミラーに映った自分の顔を見てため息をついた。
「…緩んでる…」
慌てて口元を押さえて、いつものポーカーフェイスに戻そうとするけれど、カーステレオからこのタイミングでLilaの歌が流れてくる。
僕の愛しい彼女は、どうしても僕を虜にしたいらしい。
「まいったな…」
そう呟いて、リラの歌を聴きながら警察庁へ向かうと言う贅沢な朝を満喫した。
今日は珍しく本庁へ収集命令がかかった。
どうやら警察庁公安部に新しいメンバーが配属されるらしい。
警視庁公安部への異動はよく聞く話だが、警察庁公安部への異動は滅多にない。
一体、どんなエリートが入ってくるのやら。
特に期待もしないまま、アクセルを踏んで車を走らせていた。
車を走らせること1時間。
「お疲れ様です」
「おう。降谷!久しぶりだな!」
「ええ。頻繁に連絡は取っていましたが、顔を合わせるのは久しぶりですね」
公安の同僚はそれぞれ、国家安全に関わる重要なミッションのもと動いている人間が多い。
そのため、普段は警察官ということを隠して生活している場合もあり、同僚同士が顔を合わせるのは実は稀だったりする。
それにしても、収集がかかった割に少ないな…
そう思いながらあたりを見渡すと、その先輩は不思議そうに首を傾げた。
「そういや、降谷。お前今日はどうした?
何かあったのか?」
「え…?管理官が本庁に来るようにと…」
同僚のこの様子、まさか収集がかかったのは僕一人か…?