【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第30章 ジェラシーの温度 ☆
「も、もういいよ」
裸になり、ささっと露天風呂の中に身体を浸け、入口に背中を向ける状態で零を呼んだ。
すると、露天風呂と部屋を繋ぐドアがガラッと開く。
ひた…と零の足取りが聞こえ、わたしは不意に思う。
このままわたしが後ろを振り向けば、零の全裸が…
いつもわたしのことを抱いているあの身体を、全身まじまじと観察したことのないわたしは、好奇心が掻き立てられる。
見たい…
でも変態っぽい…?
でも見たい…零の熱い胸板から腹筋を通り、そして…
そう思いながらゆっくり後ろを振り返ると、
パシャッ
「うぷっ!」
わたしの顔に、零が優しくお湯をかけた。
「こーら。自分は見せないくせに、僕の裸を盗み見ですか?」
ば、バレてる!
急いで顔についた水を手で拭い、零の方を見ると、すっかり湯船に浸かった状態でわたしを見て微笑む。
結局、零の裸を眺めることは出来ず、無意識にガクッと肩を落とすと、零が腕を広げて前からわたしの身体をぎゅっと抱きしめた。
ぱしゃ…とお湯が揺れ、素肌が触れ合い、零の腕にぎゅっと閉じ込められると、ドクンと心臓が跳ねた。
「そんなに残念な顔しなくても、存分に僕の身体を感じさせてあげますよ?」
抱きしめられた耳元で、息を吹きかけられながらそう言われると、期待の蜜がじわっと滲んだ気がした。
零の身体は、抱きしめられると意外と大きくて、華奢なわたしを全部包み込むぐらい。
好き…
わたしの零だから。誰にも渡したくない…
そう思っていると、零が少しだけ身体を離してわたしの目を見つめた。
「リラ…好きだよ」
「っ…わたしも、今同じこと思ってた…」
「ははっ…また?」
わたし達は、同時に同じことを考えていることがよくある。
今だってそう。
「考えていたなら、ちゃんと言葉に出して伝えてください」
「…好き。零のこと、大好き…」
そう伝えた瞬間、零の唇がわたしの唇に重なった。
「んっ…」
ぱしゃ…とお湯が揺れ、零の逞しい腕がわたしの背中を支え、キスをしながらもう片方の手で頬を撫でた。
もう、全身零に包まれて、身動きが取れない。