【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第30章 ジェラシーの温度 ☆
夕食を食べながら、話題は今の仕事の話になる。
リラには退屈な話で申し訳ないと思いつつも、僕も久しぶりに会った同期の話には興味があった。
「大澤は今どこに?」
「今は一課の弓長警部の下だよ。
ほぼ毎日火事場の現場」
「へえ。忙しそうだな。」
「真壁よりはマシだよ。
こいつのサイバー犯罪対策課の事件、増えてるから。」
「なるほど…確かに。
涼宮は?今取り調べ専門班だよな?」
隣にいた涼宮に話を振ると、僕の方をニコッと微笑みながら見た後、
「えぇ。
まあ、もうすぐ異動することが決まってるの。」
「へえ?どこに?」
「ヒミツ。そのうちわかるから」
シーッと人差し指を口元に持って来て、ウインクをする涼宮。
チラッとリラを見ると、リラの可愛い顔が膨れっ面で丸々と膨らんでいる。
ちょっと苛めすぎたか…
そう反省はしつつも、リラのヤキモチが嬉しすぎる僕はつい火に油を注ぐ。
「涼宮なら、どこの課でもやっていけるだろうな」
「本当?成績トップだった降谷くんにそう言われるなんて嬉しいな。」
いい感じに酔っ払って来たのか、涼宮は少し浴衣をはだけさせたまま、僕の身体に抱きついて来た。
「嬉しいから、ぎゅってしちゃう」
「おいリリー。」
呆れた顔で嗜める大澤の隣に、リラが今にも泣きそうな顔をして僕たちを見た。
これはやり過ぎたな…
完全に傷ついた顔をしている。
そんな様子を大澤も感じ取ったのか、気を使うように涼宮を僕から引き剥がした。
「じゃあ、飯も食ったし俺たちは部屋に戻るか!」
「そうね。明日チェックアウトだし」
そう言われた涼宮は割とあっさりと立ち上がった。
「ドアまで見送るよ」
そう言って、3人を見送りにドア前に立ち、久しぶりの再会に終止符を打つ。
「じゃあな降谷。
今度飲みにでも行こうぜ」
「あぁ」
「降谷くん。またね」
「?あぁ。」
またね?と言われたのが気になったけれど、理由を聞く前にドアが閉まった。
パタン…