【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第30章 ジェラシーの温度 ☆
頭の中で独り言を言っていると、何も言葉にしない僕を見てリラはしゅんと眉を下げた。
「零は、巨乳がいいんだ…」
なぜ突然巨乳の話を…?と、ツッコミたくなる衝動を抑え、僕はリラの髪を撫でながら言う。
「リラの胸以外は興味ないよ」
「…ほんと??」
「本当」
こんな恥ずかしいことを言うの初めてだ。
おでことおでこをコツッと当てて、じっとリラを見てそう言うと、リラはむーと納得してなさそうな顔をした。
「で?どうした?突然」
「涼宮さんがお風呂で…」
リラが何か言おうとした時、タイミングよくそれをかき消すように部屋のドアがノックされた。
「降谷ー!」
「あ。大澤たち、来たみたいだな」
リラから身体を離し、出迎えるためにドアの方へ向かうとリラもしぶしぶ後ろからついて来た。
ドアを開けると、浴衣姿の3人が並んで前に立っている。
「お。Lilaさん、浴衣色っぽいですね」
僕の隣にいたリラを見て、真壁が何気なくそう言ったのが面白くなくて、僕は思わずリラを自分の身体で隠した。
「…僕の彼女なんだから、あんまり見るなよ」
「降谷がそんな風に怒るの、珍しいな」
大澤が目を丸くしながら僕を見た。
当然だ。
警察学校の時は、自分の容姿で何を言われようが、成績でやっかまれようが涼しい顔をしていた僕が、ただ彼女の浴衣が色っぽいと言われただけで敵意を剥き出しにしているのだから。