【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第30章 ジェラシーの温度 ☆
夕方の大浴場は意外と空いていた。
ほとんど貸し切り状態でラッキーだと心が躍る。
変装をしなくても顔バレすることもなさそうだ。
大浴場を抜けて露天風呂にやってきた。
どうやら露天風呂には一人だけ先に湯船に浸かっている人がいるみたい。
湯船にゆっくりと足をつけて中に入ったとき、そこにいた女性がわたしの名前を呼ぶ。
「あれ?Lilaさん?」
「あ!えっと…」
「涼宮リリーです。」
そう。さっき零から話を聞いた噂の涼宮さんが湯船に浸かっていた。
よく見ると、本当に堀が深くて綺麗な顔してるなー…
心なしか色っぽいし、大人の女の色気がムンムン。
零と同期だからわたしよりも6歳ぐらい上かな?
それに、首元や胸元にはキスマークが複数個…
これは…どっちに付けられたんだろう…
なんて、思わず想像してしまう。
あまりにもじーーっとそのキスマークを見るわたしの視線に気付き、涼宮さんは笑いながら言う。
「何か?」
「あっ…えーっと…堀が深くて美人だなーって思って」
「ふふ。芸能人に言われても複雑かも。」
「あ…すみません。そんなつもりじゃ」
ただ思ったことをそのまま伝えたつもりだったんだけど、そうか。
芸能人が一般人に美人というと嫌味に聞こえちゃうのかな…
慌てて謝ると、涼宮さんはふわりとまた美しく笑いながらわたしを見た。
「ありがとう。ハーフなの。私。
降谷くんと一緒」
「あ…そうなんですか…」
「よく、警察学校で降谷くんとセットで揶揄われたりしたけど、いつも彼が守ってくれた。」
「零らしいですね」
そんな取り留めのない話をして一瞬気まずい間が流れたとき、涼宮さんは首を傾げながら笑う。