【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第4章 君の近くに
はあーっとため息をつくと、安室さんが言う。
「すみません」
「え?」
むしろ、謝るのはこっちの方で、なぜ安室さんからその言葉が飛び出したのかわからないまま彼を見た。
「突然、よく知らない男と暮らすことになったんだから、ストレスを抱えるのも当たり前ですよね。
…1ヶ月の辛抱ですから」
「そ!そんなことないよ!嫌じゃない!」
思わず、わたしから出てきた言葉に自分でも驚いた。
嫌じゃない。
そうなんだ…わたし、安室さんと一緒にいるの、嫌じゃないんだ。
だって、ついこの間初めて会った人で、男の人だし…
普通は嫌だよね?一緒に暮らすのなんか。
でも、わたしは 嫌じゃないって思っているんだ…
そう思いながら、どんな顔をしていいかわからなくて照れ隠しに窓の外を見ていると、安室さんが優しく言った。
「そうですか。良かった」
良かったって…どういう意味なの…
きっと深い意味なんてない。
そう思うと、なんとなく寂しくなるこの感情は一体何?
また、何て返していいか分からなくて、わたしは窓の外を見た。
移りゆく景色が、どうしてかいつもよりカラフルに見える。
わたし、変だ…
この間から、どこか心が忙しいし、安室さんの言うことにいちいち反応してる。
確かに、疲れてるのかもしれない。
今日は早く寝よう。
たくさん寝ると、きっと治るよ。
この不整脈も、動悸も、熱くなった頬も。