【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第30章 ジェラシーの温度 ☆
降谷と呼ぶこの3人を見て、零は驚いたように目を見開いた。
そして、右から順にこの人達の名前を呼ぶ。
大柄で、ザ体育会系短髪の男の人を大澤。
真ん中にいた、中性的な顔立ちをした優しそうな男の人を真壁。
そして、その隣にいた紅一点。
栗色の毛に少し堀の深い顔立ちの美人な女の子を涼宮。
「久しぶりだなあ!降谷!
卒業式以来じゃないか?まさかこんなところで会うなんて」
ばしばしと零の背中を叩きながら大澤さんが豪快に笑う。
「ああ。卒業してからそれぞれ配属先で忙しくて同期が集まるタイミングなんてなかったからな」
零が返した言葉から、どうやらこの3人は警察学校の同期らしい。
わたしが知っている零の知り合いといえば、ヒロと風見さんぐらいだから、こんな風に零が他の人と親しげに話しているのは新鮮だ。
「っていうか、降谷。
もしかして隣にいるのって…」
「あぁ。僕の彼女の…」
「アーティストのLilaさんじゃありませんか??」
零が僕の彼女と紹介する前に、わたしの正体がバレてしまったらしい。
真壁さんがわたしの顔をずいっと覗き込みながら、わたしの芸名を呼んだ。
「はい。そうです」
街で声をかけられたときは、営業スマイルを返すのが染み付いているわたしは、今回もアイドル出身のアーティストらしくニコリと笑って答えた。
「やっぱり!!ってことは、芸能人と付き合ってるのか!?
さすが降谷だな。」
そう言って話しが盛り上がりかけたが、チェックインの途中ということを忘れていた。
「失礼いたします…。夕食はお部屋をご希望ということでお間違い無いでしょうか?」
零達の会話が途切れた頃を見計らい、チェックイン受付をしている中居さんが尋ねてきた。
「はい。部屋で食べます」
そう言ったとき、涼宮さんと呼ばれた女の子が零の袖をくいっと掴んだ。
「ねえ、もしよかったら夕食一緒に食べない?」
「え?」
「おいリリー。
カップルで来てるのにそれはないぜ?」
目を見開く零と、リリーと呼ばれた涼宮さんを嗜める大澤さん。
「だって、せっかく久しぶりに会えたのよ?
もっと降谷くんと話したいじゃない。ね?」
そう言って首をかしげる涼宮リリーさん。
名前も顔も綺麗で仕草は可愛い。