【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第29章 零と過ごす2度目の夏 ☆
気付けばもう深夜。
零との甘い時間に夢中で、1年記念日になる瞬間はとっくに過ぎていた。
たぶん、日付が変わる瞬間、わたしたちは繋がったままだったと思う。
ある意味最高の一年記念日の幕開けだったということだ。
さっきまではぐるぐると鳴っていた腹の虫は、零に抱かれたことで性欲が満たされたからか、すっかり治まっている。
「零、お腹空いてなかったの?」
零の腕枕に寄りかかりながらそう尋ねると、零は腕枕している手でわたしの頭をぽんぽんと撫でながら言う。
「空いてたけど、リラを抱いたらお腹いっぱいになったよ」
「ふふっ。それ、わたし今思ってたこととおんなじ。」
思わず笑ってしまうと、零は目を細めながらわたしのおでこにキスをした。
「僕と同じことを考えているとは、可愛いですね。君は、本当に」
「あのね。初めて会った時…
わたしが彼氏と別れたって言ったら、零はこんな可愛い子を振るなんてもったいないことをしますね。って言ってくれたの」
「言ったな。そういえば」
「その直前に、零が前の彼女と別れたって話を聞いて、わたしも思ったんだよ。
こんなにいい人を振るなんてもったいないなって。
零には言わなかったけど、あの時からわたしたちっていつも同じこと考えてたよね」
「そうなんだ。
…じゃあ、今何を考えてる?」
「今?…こうして零とずっと、一緒にいられますように。
来年も、再来年もずっと」
「…本当だ。
僕も同じこと考えてた。」
そんな、馬鹿みたいにイチャイチャな会話をして、照れ臭くて顔を見合わせて笑った。