【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第29章 零と過ごす2度目の夏 ☆
そして、目を丸くして首を傾げるリラに、もう一度同じことを伝えた。
「明日だよ。一年記念日は。」
「うっそ!!そんなはず!!」
「いや。あの生放送があったのは、ちょうど1年前の明日の日付。
だからあと30分後が記念日の1日の始まりだ。」
そう言うと、リラは僕の身体を押し退け、急いでスマホのスケジュールアプリを確認する。
そしてすぐに、自分の勘違いだったと悟ったリラは、今度は違う意味で半泣きになりながら僕を見た。
「ほ、本当だ…
つまり…わたしのはやとちり…」
「まあ、そうなるな…」
「あ、穴があったら入りたい…」
そう言ってリラは両手で自分の顔を覆って項垂れた。
そして、顔を覆う指を少し開いてその隙間から僕を申し訳なさそうに覗く。
「ごめんね?わたしの勘違いだったのに、零に八つ当たりして酷いこと言ったり…そっけない態度取っちゃって…」
「いいよ。
一年記念日、楽しみで気持ちが逸ったんだよな?」
怒る気なんて少しもなれない僕は、俯くリラの髪を撫でた。
柔らかい髪が指を通り、愛しさが増す。
「…零はわたしに甘いね。
もっと怒っていいんだよ?」
「怒ることなんて何も無いから。
君の全部、愛しいよ」
リラの髪を撫でながら上を向かせると、ほんのちょっとだけ潤んだ瞳と目が合った。